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おばあちゃんの指輪、石が鮮やかすぎる問題。戸塚で判定する「合成ルビー(ベルヌイ法)」と「天然」の決定的違い|おたからや 戸塚店

  • 執筆者の写真: おたからや戸塚店スタッフ2号
    おたからや戸塚店スタッフ2号
  • 2025年12月26日
  • 読了時間: 14分

横浜市戸塚区にお住まいの皆様、こんにちは。おたからや戸塚店です。

年末年始の帰省や、ご実家の遺品整理、あるいは終活の一環として長年開けていなかった宝石箱の整理をしているとき、ひと際目を引く派手な指輪が出てきたことはありませんか?

それは、まるでカキ氷のシロップのように鮮烈な赤色やピンク色をしており、子供の指にはあまりに大きすぎるほどの巨大な石が、背の高い爪で留められた指輪です。 昭和30年代から40年代、高度経済成長期の日本で青春時代を過ごされたお祖母様やお母様が愛用されていた、いわゆる「昭和ジュエリー」。

ルビー

現代の華奢で繊細なジュエリーを見慣れた目には、その石はあまりにも大きく、あまりにも色が鮮やかすぎて、逆に作り物めいているように映るかもしれません。

「こんなに透明で大きなルビーが本物なわけがない」 「お祭りの夜店で売っているガラス玉と同じだろう」 「おばあちゃんは良いものだと言っていたけれど、きっと騙されたんだ」

そう自己判断し、あろうことか燃えないゴミとして処分してしまう方が、戸塚エリアでも後を絶ちません。

断言します。その自己判断は、現金をそのままゴミ箱に捨てているのと同じです。

その「鮮やかすぎる石」の正体は、多くの場合、昭和の時代に一世を風靡した「合成ルビー(シンセティック・ルビー)」です。 そして、それらは決して安物のおもちゃや偽物ではありません。当時の最先端科学技術の結晶であり、現代においても【地金としての確かな資産価値】と【ヴィンテージデザインとしての骨董価値】を併せ持つ、立派な資産なのです。

この記事では、おたからや戸塚店の熟練査定員が、昭和ジュエリーの象徴とも言える「合成ルビー」の世界を、宝石学の教科書レベルで徹底的に深掘りします。 100年以上前に発明された「ベルヌイ法」という驚異の製造技術から、プロしか知らない天然石との見分け方、そしてなぜ「偽物」だと思って持ち込んだ傷だらけの指輪が数万円から十数万円の買取価格に化けるのか。その全貌を解説します。

戸塚・横浜エリアで遺品整理にお悩みの方、古いジュエリーの処分を検討されている方は、捨てる前に必ずこの記事を最後までお読みください。


昭和のハイテク技術「合成ルビー」とは何か


まず皆様に正しく理解していただきたいのは、「合成(Synthetic)」と「模造(Imitation)」の決定的な違いです。ここを混同していることが、多くの誤解と廃棄を生む原因となっています。


「偽物」ではない、「科学が生んだ本物」


一般的に「偽物」と呼ばれるものには、ガラスやプラスチックで作られた「模造石」があります。これらは見た目を似せているだけで、物理的な性質は全くの別物です。硬度も低く、時間が経てば白く濁ったり割れたりします。

しかし、「合成ルビー」は根本的に異なります。 合成ルビーとは、天然ルビーと全く同じ化学的・物理的性質を持つ物質を、人間の手で作り出したものです。


  • 化学組成:天然ルビーと同じ「酸化アルミニウム(Al2O3)」に微量の「クロム(Cr)」を配合したもの。

  • 結晶構造:天然と同じ「六方晶系」。

  • 硬度:天然と同じ、ダイヤモンドに次ぐ「モース硬度9」。

  • 屈折率・比重:天然とほぼ完全に一致。


つまり、合成ルビーとは、【地球(自然界)が何億年もかけて作ったものを、人間(科学)が研究所で短期間に再現したもの】なのです。 成分も性質も天然ルビーと全く同じであるため、宝石学的には本物のルビーと言っても過言ではありません。ただ、「生まれた場所」が地底深くか、工場の中かという違いだけなのです。


1902年の革命「ベルヌイ法(火炎溶融法)」


この合成ルビーを人類史上初めて商業レベルで生み出したのが、フランスの科学者オーギュスト・ベルヌイです。彼が1902年に発表した「ベルヌイ法(火炎溶融法)」は、宝石の歴史を塗り替える大発明でした。

その仕組みは、驚くほどシンプルかつ豪快でありながら、極めて精密な制御を必要とするものでした。


  1. 原料の供給: 純度の高い酸化アルミニウムの粉末に、着色剤となる酸化クロムを混ぜたものを、装置の上部から少しずつ落下させます。

  2. 火炎による溶融: 落下した粉末は、酸素と水素の混合ガスによって作られる約2,000℃以上の酸水素バーナーの炎の中を通過します。この一瞬で粉末は溶け、微細な液滴(マグマのような雫)となります。

  3. 結晶の成長: その液滴が、下にある回転する台座(種結晶)の上にポタポタと落ちます。落ちた雫は冷えて固まりながら、少しずつ積み重なっていきます。

  4. ブールの形成: 時間をかけて成長させると、トウモロコシやボウリングのピンのような形をした、巨大な単結晶の塊ができあがります。これを「ブール(Boule)」と呼びます。


この技術により、天然では奇跡的な確率でしか生まれない「不純物がなく、巨大で、色の美しいルビー」を、人工的に量産することが可能になったのです。 当初は精密時計の軸受け(ジュエルベアリング)などの工業用として開発されましたが、そのあまりの美しさと耐久性から、瞬く間に宝飾品として世界中に広まりました。


なぜ昭和のおばあちゃん達は熱狂したのか


戦後の日本、特に昭和30年代(1955年〜)からの高度経済成長期において、生活に余裕のできた人々は「豊かさの象徴」としてのジュエリーを求め始めました。 冷蔵庫、洗濯機、白黒テレビが「三種の神器」と呼ばれた時代、女性たちの憧れは、指先で輝く大きな赤い宝石でした。

しかし当時、ミャンマー産などの最高品質の天然ルビー(ピジョンブラッド)は、家が一軒建つほどの超高級品であり、一般庶民には到底手の届かない高嶺の花でした。また、当時の流通事情では、質の良い天然石を見つけること自体が困難でした。

そこに登場したのが、ベルヌイ法で作られた合成ルビーです。 天然石特有の黒ずみやひび割れが一切なく、どこまでも透き通った鮮やかな赤色。しかも、ぶつけても割れにくい頑丈さを持っている。そして何より、頑張れば手が届く価格帯であること。

当時の百貨店や町の宝飾店は、これを「夢の宝石」「科学の勝利」として大々的に売り出しました。「京セラクレサンベール(※製法は異なりますが代表例)」などが有名ですが、当時は「シンセティック」であることは隠すべきことではなく、むしろ【最新技術で作られた、傷のない最高に美しい石】として、誇りを持って販売・購入されていたのです。

ですから、もしおばあ様が「これはとっても良いものなのよ」「お父さんが給料をはたいて買ってくれたの」と言っていたとしても、それは決して嘘をついていたわけでも、騙されていたわけでもありません。当時の価値観において、それは間違いなく「自慢の逸品」だったのです。


プロはここを見る!天然と合成の決定的違い


成分が同じなら、どうやって見分けるのか? 私たちおたからや戸塚店の査定員は、毎日数多くの宝石を鑑定していますが、合成ルビー(ベルヌイ法)には、プロが見れば一発でわかる「特有の顔」があります。 ここでは、ご家庭でも確認できるポイントと、プロが使う専門的な識別点をご紹介します。


見た目の違和感:「綺麗すぎる」という証拠


宝石の世界には、【Too Good To Be True(話が良すぎる=偽物)】という言葉があります。 天然のルビーは、自然界の過酷な環境下で成長するため、内部には必ず「インクルージョン(内包物)」が含まれます。他の鉱物の結晶、液体の溜まり、ヒビ(クラック)、色ムラ(カラーバンド)などです。これらは天然であることの証明書とも言えます。

一方、合成ルビーは不純物を極限まで排除した環境で作られるため、以下の特徴があります。


  • 完璧な透明度: 内部に濁りが全くなく、向こう側が透けて見えるほどクリアです。

  • 均一すぎる色: どこから見てもムラのない、鮮烈なチェリーピンクや赤紫色をしています。天然石のような色の濃淡がありません。

  • 巨大なサイズ: 3カラット、5カラット、時には10カラットといった、天然なら博物館級のサイズがゴロゴロ存在します。


もし、お手元の指輪の石が、吸い込まれるように透明で、小指の爪ほどの大きさがあり、かつ色が絵の具のように均一であれば、それは極めて高い確率で合成ルビーです。天然で同レベルの品質であれば、数千万円から億円単位の価値になります。


ルーペで見るミクロの世界:カーブ線と気泡


10倍のルーペや顕微鏡で石の内部を観察すると、ベルヌイ法特有の痕跡が見つかります。これこそが、科学捜査のような決定的な証拠となります。

  • カーブド・ライン(弧状成長線): ベルヌイ法では、回転する台座の上に溶けた原料が積もっていくため、レコード盤やバームクーヘンのような「湾曲した成長線」が内部に残ります。 天然ルビーの成長線は、結晶構造(六方晶系)に従って必ず「直線」や「角ばった形」になります。したがって、カーブした線が見えた時点で、それは決定的に「人工的に作られた石」である証明となります。

  • 気泡(ガス・バブル): 急激に原料を溶かして固める過程で、微細な空気の粒が入り込むことがあります。 天然石には液体や固体の内包物はあっても、完全な球体の気泡が入ることは絶対にありません。ルーペで見て、小さな丸い粒がポツポツと見えたら、それは合成石のサインです。


紫外線(ブラックライト)の強烈な反応


これはご家庭でも試せる簡単な鑑別方法です。暗い部屋で、市販のブラックライト(UVライト)をルビーに当ててみてください。 ルビーは紫外線を当てると赤く発光(蛍光)する性質がありますが、その光り方に大きな差が出ます。

  • 天然ルビー: 内部に含まれる鉄分が蛍光を阻害するため、発光はやや弱め、あるいは鈍い赤色になります。

  • 合成ルビー: 蛍光を邪魔する不純物(鉄分など)が全く含まれていないため、【目が痛くなるほど強烈な鮮赤色】に発光します。まるで燃え盛る炭火のようなその輝きは、合成石ならではの特徴です。


なぜ「合成石」の指輪が高価買取になるのか?


「結局、人工的な石なら価値はないんでしょう?」 ここまで読んで、そう落胆された方もいらっしゃるかもしれません。確かに、現在の中古市場において、合成ルビーの「石そのもの」に数万円の値段がつくことは稀です(※リカット用などの需要はありますが、天然石の価値には遠く及びません)。

しかし、おたからや戸塚店にお持ち込みいただければ、その指輪には【数万円、時には十数万円の買取価格】をご提示できるケースが多々あります。 なぜ「石に価値がない」のに、それほどの高額査定になるのか。その秘密は「枠(マウント)」と「時代背景」にあります。


昭和の枠は「資産の塊」である


昭和のジュエリーの最大の特徴は、【貴金属を惜しみなくたっぷりと使っていること】です。 現在のジュエリーは、コスト削減のためにアーム(指輪の腕部分)を極限まで細くしたり、裏側を肉抜きして軽量化したりするのが一般的です。

しかし、昭和30年代から40年代は違いました。 「大きな石を支えるには、頑丈な土台が必要だ」という職人の気概と、資産としてのジュエリーという考え方が強かったため、台座はずっしりと重く作られています。


  • 高さのある台座: 「唐草(からくさ)」や「千本透かし」と呼ばれる装飾が入った、高さのある台座。

  • 太いアーム: 変形しにくい、しっかりとした厚みのあるリング部分。


合成石の指輪であっても、その枠には「K18(18金)」や「Pm(プラチナの古い表記)」が使われています。 指輪ひとつで重量が5gから10g、あるいはそれ以上あることも珍しくありません。 現在の金相場・プラチナ相場は、昭和当時とは比較にならないほどの高値を記録しています。つまり、【石の価値】ではなく【金属の重量価値】だけで、驚くような金額になるのです。

例えば、K18の枠が8gあったとしましょう。これだけで、現在の相場なら数万円後半以上の価値があります。「石が偽物だから」といって捨ててしまうのは、この数万円の札束を捨てているのと全く同じことなのです。


「Pm」刻印の秘密


古い合成ルビーの指輪によく見られるのが、「Pm」や「Pm900」という刻印です。 これは「Platinum Metal」の略で、現在の「Pt」表記に統一される前(昭和35年頃まで)に使われていたプラチナの証です。

中には「Pm」としか書かれておらず、純度が不明確なものもありますが、おたからや戸塚店にはX線分析機などの専門設備があります。詳細に検査をすれば、その多くがPt850(純度85%)相当の立派なプラチナであることがわかります。 「Ptじゃないから」と諦めず、この「Pm」こそがヴィンテージの証明であり、高額査定のキーワードだと覚えておいてください。


再評価される「昭和のデザイン(ヴィンテージ)」


近年、この昭和特有のデザインが「レトロで可愛い」「職人技がすごい」として、若い世代や海外のコレクターから再評価され始めています。

  • 千本透かし: 金属の台座部分に、糸鋸(いとのこ)を使って手作業で無数の細かい隙間を開ける技法。

  • 王冠透かし: 横から見たときに王冠(クラウン)のように見える優雅な透かし彫り。

  • 菊爪(きくづめ): 菊の花びらが石を包み込むように留める技法。

これらは当時の職人が一つひとつ手作業で施していたもので、キャスティング(鋳造)による大量生産が当たり前になった現代では、手間がかかりすぎて再現不可能と言われる「ロストテクノロジー」に近い技術です。 単なる「貴金属のスクラップ(溶かして再利用)」としてだけでなく、こうした【製品としてのデザイン価値・骨董価値】をプラス査定できるのが、豊富な販路を持つおたからや戸塚店の強みです。


戸塚店での実際の買取ドキュメント


では、実際に合成ルビーの指輪をお持ち込みいただいた場合、どのような流れで査定が進むのか。具体的なエピソードをご紹介します。


ケーススタディ1:遺品整理で見つかった「おもちゃ?」


お客様: 戸塚区在住、50代女性 持ち込み品: お母様の遺品整理で出てきた、真っ赤な大きな石の指輪と、切れたネックレス数点。 お客様の認識: 「石が大きすぎて嘘っぽい。お母さんは『良いものだ』と言っていたけど、どう見てもおもちゃだから、処分するつもりで持ってきた。」

査定の様子: まず、刻印を確認。「K18」の文字がはっきりと刻まれていました。 石をルーペで確認すると、綺麗なカーブド・ラインが見えます。「これは典型的な昭和の合成ルビーですね」とお伝えしました。 お客様は「やっぱり偽物だったんですね…」と肩を落とされましたが、私はすぐに重量計に乗せました。 重さはなんと9.2g。台座の装飾が非常に凝った作りで、ずっしりとした重みがありました。

結果: 石の値段はつきませんでしたが、K18の地金価値に加え、千本透かしのデザイン評価を加算。 買取金額は10万円を超えました。 「えっ、そんなになるんですか!?」とお客様は絶句。「おもちゃだと思って捨てなくてよかった…」と、涙ぐんで喜んでいただけました。


ケーススタディ2:ボロボロの指輪と「Pm」刻印


お客様: 泉区在住、70代男性 持ち込み品: 自宅の倉庫から出てきた、変色して真っ黒になった指輪。石の表面も傷だらけ。 お客様の認識: 「汚いし、Pmなんて変な刻印だからメッキだろう。」

査定の様子: 全体が酸化して黒ずんでいましたが、刻印は「Pm」。 X線分析の結果、Pt850相当のプラチナであることが判明しました。 石は合成サファイアで、長年の使用により角が削れて丸くなって(ファセット摩耗)いましたが、これが逆に「長年愛用された証」として、ヴィンテージ感を醸し出していました。

結果: 汚れや傷は査定額にほとんど影響しません(地金は溶かせば新品同様になるため)。 プラチナの重量分として、しっかりとした金額をご提示。 「孫の小遣いになればと思ったが、私の小遣いにもなりそうだ」と笑顔でお帰りになりました。


捨てる前に、まずは戸塚店へ


ここまでお読みいただき、ありがとうございます。 もし今、あなたのお手元に「鮮やかすぎる石の指輪」があるのなら、どうかその手を止めてください。

その指輪は、昭和という激動の時代を生き抜いた女性たちが、日々の暮らしの中で心の支えにし、大切に磨き上げてきた「宝物」です。 そして現代においては、金・プラチナという「確実な資産」でもあります。

「合成だから」「偽物だから」という言葉は、宝石学上の分類に過ぎません。 私たちおたからや戸塚店は、石の真贋だけでなく、その指輪が持つ【素材の価値】【時代の価値】【想いの価値】を総合的に判断し、価格に反映させます。


  • 石が取れていても構いません。

  • 指輪が歪んでいても構いません。

  • 真っ黒に錆びていても構いません。

  • 鑑定書や箱がなくても構いません。


戸塚駅からすぐの店舗で、皆様のご来店をお待ちしております。 査定は完全無料。相談だけでも大歓迎です。 「もし値段がつかなくても、正体がわかればスッキリする」くらいの軽い気持ちで、お買い物のついでにお立ち寄りください。

おばあちゃんの指輪が、あなたとご家族の新しい笑顔に変わる瞬間を、私たちがサポートいたします。


店舗情報



注意文(免責事項)


本記事に掲載されている買取実績や査定金額は、執筆時点の相場情報に基づいた事例です。 貴金属やブランド品の相場は、世界情勢や為替変動(円安・円高)により日々変動いたします。また、お品物の保存状態(傷、汚れ、付属品の有無など)や製造年代によっても、実際の査定額は大きく異なる場合がございます。 そのため、記事内の金額はあくまで目安としてご理解いただき、正確な買取価格については、店頭での無料査定にてご確認ください。 当社は、古物営業法に基づき運営しております。買取の際は、ご本人様確認書類(運転免許証、健康保険証、マイナンバーカード等)の提示が必須となりますのでご注意ください。 反社会的勢力と認められる団体・個人からの買取は、いかなる場合もお断りさせていただきます。

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