その輝き、天然ですか?ダイヤモンドと色石の価値を変える「処理」の世界|LDH・エンハンスメントと買取価格
- おたからや戸塚店スタッフ2号
- 1 日前
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キラキラと輝くダイヤモンド、息をのむほど美しい色石。ジュエリーの持つ魅力は、私たちを特別な気持ちにさせてくれますよね。婚約指輪や記念日のプレゼント、あるいは自分へのご褒美として、大切な宝石をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
ところで、その宝石の輝きや色が、人の手によってさらに美しく仕上げられている可能性があることをご存知ですか?

宝石業界では、石が本来持つポテンシャルを最大限に引き出すため、様々な「処理」や「エンハンスメント」と呼ばれる技術が用いられています。これらは決して不正なものではなく、適切に行われ情報が開示されていれば、広く認められているものです。
しかし、ダイヤモンドの「LDH(レーザードリルホール)」や色石の様々な「エンハンスメント」は、見た目の美しさを向上させる一方で、宝石の価値、特に買取時の査定額に影響を与えることがあるのです。
この記事では、ダイヤモンドと色石に施される代表的な処理技術と、それらが買取価格にどう関わってくるのかを、宝石・色石専門店の視点から分かりやすく解説します。お手持ちのジュエリーの価値を知るために、ぜひご一読ください。
ダイヤモンドに見られる代表的な処理技術
永遠の輝きの象徴であるダイヤモンドにも、美しさをさらに引き出すための処理が施されることがあります。
1. LDH(レーザードリルホール):内包物への直接アプローチ
ダイヤモンドの内部には、その生成過程で取り込まれた微小な鉱物結晶などの「インクルージョン(内包物)」が存在することがあります。特に黒っぽいインクルージョンは、輝きを損ねる原因となるため、目立たなくする処理が行われる場合があります。その代表が「LDH(Laser Drill Hole)」です。
目的: ダイヤモンド内部の黒っぽいインクルージョンを目立たなくする。
方法:
レーザー光線を使って、ダイヤモンドの表面からインクルージョンまで、ごく細い穴を開けます。
その穴を通して、漂白剤などの薬品を注入し、黒いインクルージョンを脱色・透明化させます。
レーザーの熱でインクルージョンを直接蒸発させる場合もあります。
特徴:
処理によってインクルージョン自体が消えるわけではありませんが、目立ちにくくなり、見た目のクラリティ(透明度)が向上します。
開けられた穴は非常に細く、通常は肉眼で確認することは困難です。鑑定書には処理の事実が記載されます。
この処理は永続的です。
2. フラクチャー充填:表面に達するヒビを隠す
ダイヤモンドの表面に達している微細なヒビ(フラクチャー)に、ガラス質の物質などを充填して目立たなくする処理です。
目的: ヒビを目立たなくし、見た目のクラリティを向上させる。
方法: ダイヤモンドの屈折率に近いガラス状の物質を、表面のヒビに浸透させます。
特徴:
見た目の透明度が劇的に改善されることがあります。
充填された物質は、熱や超音波洗浄などでダメージを受けたり、変質・脱落したりする可能性があり、永続的な処理ではありません。
鑑定書には「トリートメント(含浸処理)」などと記載されます。
3. HPHT処理(高温高圧処理):色を改善する高度な技術
ダイヤモンドに高温と高圧をかけることで、色を改善したり、変化させたりする処理です。
目的:
褐色がかったダイヤモンドや、わずかに黄色味のあるダイヤモンドを無色に近づける。
特定の色(ピンク、ブルー、グリーンなど)のファンシーカラーダイヤモンドを作り出す。
特徴:
比較的高度な技術であり、ダイヤモンドの原子構造レベルでの変化を引き起こします。
処理されたかどうかを見分けるには、専門的な検査機器が必要です。
処理による色の変化は永続的です。鑑定書には処理の事実が記載されます。
色石に見られる代表的なエンハンスメント(処理)
ルビー、サファイア、エメラルドなどの色石(カラーストーン)にも、その美しさを引き出すための様々な「エンハンスメント(改良)」が一般的に行われています。
1. 加熱処理:色の改善と透明度の向上
色石の処理として最も一般的です。ルビーやサファイアの色をより鮮やかにしたり、アクアマリンの青みを引き出したり、タンザナイトの褐色味を取り除いたりします。広く受け入れられている処理ですが、非加熱の石は希少価値が高くなります。
2. 含浸処理:透明度の改善と保護
エメラルドにオイルや樹脂を浸透させて、内部のヒビを目立たなくし、透明度を向上させるのが代表例です。ルビーに鉛ガラスを含浸させる処理もありますが、これは価値評価が大きく下がる傾向があります。トルコ石やオパールなどにも樹脂含浸が行われることがあります。
3. 染色処理:色の付加と強調
瑪瑙(メノウ)やカルセドニー、ヒスイ、真珠、珊瑚など、多孔質な石に染料を染み込ませて色を付けたり、濃くしたりする処理です。天然の色ではないため、価値は大幅に下がります。
4. 拡散処理:表面からの色付け
サファイアなどに、色の元となる元素を表面から浸透させて色を変化させる技術です。表面のみの着色であるため、価値評価は低くなる傾向があります。
これらはほんの一例であり、宝石の種類や目的に応じて様々な技術が用いられています。
なぜ「処理された宝石」は買取価格が下がる傾向にあるのか?
見た目を美しくするための処理ですが、多くの場合、買取査定においてはマイナス評価となり、価格が下がる要因となります。その理由は主に以下の点が挙げられます。
希少性の原則: 天然のままで、人の手を加えずに高い品質(美しい色、高い透明度、優れた輝き)を持つ宝石は極めて稀少です。処理によって美しさが「作られた」石は、その希少性が薄れるため、価値評価が下がります。「LDH処理されたダイヤモンド」も、「処理によってそのクラリティグレードになった石」であり、「元々そのクラリティグレードだった無処理の石」よりも価値は低くなります。
永続性と耐久性の問題: フラクチャー充填や一部の含浸処理、染色処理などは、時間経過や使用状況(熱、薬品、超音波洗浄など)によって効果が失われたり、宝石自体にダメージを与えたりする可能性があります。価値の永続性が低いものは評価が下がります。
本来の品質とのギャップ: 処理は、宝石が元々持っていた欠点(インクルージョン、ヒビ、望ましくない色など)を隠したり、改善したりするものです。処理がなければ、より低い評価だった可能性があるため、処理石の評価は、無処理で同等の見た目の石よりも低くなります。鉛ガラス含浸ルビーのように、処理によって大幅に見た目が改善されるものは、そのギャップが大きいほど価値の下落幅も大きくなります。
市場の評価基準: 宝石市場全体として、「天然無処理」で美しいものが最高評価を受けるという基準が確立されています。処理石は、その種類と程度に応じて、無処理石よりも低い価格帯で取引されるのが一般的です。
重要なのは、「処理=悪」ではないということです。問題は、どのような処理が施されているかを正確に把握せず、見た目だけで価値を判断してしまうことです。
特に、巧妙な処理や、一般の方には見分けがつきにくい処理も存在するため、専門家による正確な鑑別・査定が不可欠なのです。
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当店では、お客様の大切なジュエリーを、専門家の目で一つひとつ丁寧に査定いたします。
高度な専門知識と経験: ダイヤモンドのLDH、フラクチャー充填、HPHT処理から、色石の加熱、含浸、染色、拡散処理まで、多岐にわたる処理技術に関する深い知識と豊富な査定経験があります。
確かな鑑別眼と設備: 熟練の鑑定士が、必要に応じて最新の専門機器も駆使し、処理の有無・種類を正確に見極めます。
透明性の高い査定: なぜその査定額になるのか? 処理の有無や種類、4C(ダイヤモンドの場合)、色・透明度・カット・サイズ(色石の場合)、デザイン、地金価値、そして現在の市場相場などを総合的に評価し、根拠を明確にご説明します。
適正価格での買取: 処理石であっても、その状態を正確に評価し、市場価値に見合った適正な価格をご提示します。もちろん、無処理の高品質な宝石は最大限に評価させていただきます。
ダイヤモンドも色石も、処理の有無とその内容によって価値は大きく変動します。ご自身の判断だけでなく、信頼できる専門店の査定を受けることが、後悔しない売却への第一歩です。
お越しの際は鑑定書、鑑別書がありましたら必ず一緒にお持ちください。
査定・ご相談は無料です。売却を前提としないご相談も歓迎いたします。「まずは価値だけ知りたい」という方も、どうぞお気軽におたからや 戸塚店へご来店、お問い合わせください。
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